からっぽのしょこ

読んだら書く!書いたら読む!同じ事は二度調べ(たく)ない

黄金数の性質の導出

はじめに

 円関数(三角関数)の定義や公式をR言語で可視化して理解しようシリーズの補足シリーズ(黄金比編)です。

 この記事では、黄金数の性質を確認します。

【前の内容】

www.anarchive-beta.com

【他の記事一覧】

www.anarchive-beta.com

【この記事の内容】

黄金数の性質の導出

 黄金比(golden ratio)の比率である黄金数(golden number)の性質を導出します。
 黄金比と黄金数については「【R】黄金比の可視化 - からっぽのしょこ」を参照してください。

黄金数の性質

 黄金数(黄金比率)の性質を導出します。

1乗の式

 黄金数に関する式を確認します。

 黄金数は、次の式になるのでした。

 \displaystyle
\varphi
    = \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
\tag{1}

 詳しくは「黄金比の可視化」の「黄金数の計算式」を参照してください。

分数による表現

 黄金比の定義より、長さが  \varphi の線分を一方の長さを  1 で分割するともう一方の長さは  \frac{1}{\varphi} でした。また、線分全体の長さは分割した2つの線分の和なので、次の式が成り立ちます。

 \displaystyle
\varphi
    = 1 + \frac{1}{\varphi}
\tag{2}

 黄金数の逆数との関係式が得られました。

 式(2)の右辺の  \varphi に右辺全体を代入すると

 \displaystyle
\varphi
    = 1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{1}{\varphi}
      }

となります。
 さらに、代入を繰り返すと、黄金数を連分数で表わせます。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi
   &= 1 + \frac{1}{\varphi}
\tag{2}\\
   &= 1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{1}{\varphi}
      }
\\
   &= 1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{
              1
          }{
              1 + \frac{1}{\varphi}
          }
      }
\\
   &= 1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{
              1
          }{
              1 + \frac{
                  1
              }{
                  1 + \frac{1}{1 + \cdots}
              }
          }
      }
\tag{3}
\end{align}


 ちなみに、黄金数と逆数の関係式(2)を逆数について整理して

 \displaystyle
\frac{1}{\varphi}
    = \varphi - 1
\tag{4}

右辺に式(3)を代入すると、黄金数の逆数も連分数で表わせます。

 \displaystyle
\begin{align}
\frac{1}{\varphi}
   &= \left(1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{
              1
          }{
              1 + \frac{
                  1
              }{
                  1 + \frac{1}{1 + \cdots}
              }
          }
      }
      \right)
      - 1
\\
   &= \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{
              1
          }{
              1 + \frac{
                  1
              }{
                  1 + \frac{1}{1 + \cdots}
              }
          }
      }
\tag{5}
\end{align}


平方根による表現

 続いて、黄金数と逆数の関係式(2)

 \displaystyle
\varphi
    = 1 + \frac{1}{\varphi}
\tag{2}

の両辺に、黄金数を掛けると

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^2
   &= \varphi + 1
\tag{6}\\
\Rightarrow
\varphi
   &= \varphi^2 - 1
\tag{7}
\end{align}

 黄金数と2乗の関係式が得られます。
 さらに、両辺のルートをとると、長さ比は正の値  \varphi \gt 0 なので、次の式が成り立ちます。 

 \displaystyle
\varphi
    = \sqrt{1 + \varphi}
\tag{8}

 黄金数を用いた根号式が得られました。

 式(8)の右辺の  \varphi に右辺全体を代入すると

 \displaystyle
\varphi
    = \sqrt{
          1 + \sqrt{1 + \varphi}
      }

となります。
 さらに、代入を繰り返すと、黄金数を入れ子の根号式で表わせます。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi
   &= \sqrt{1 + \varphi}
\tag{8}\\
   &= \sqrt{
          1 + \sqrt{1 + \varphi}
      }
\\
   &= \sqrt{
          1 + \sqrt{
              1 + \sqrt{1 + \varphi}
          }
      }
\\
   &= \sqrt{
          1 + \sqrt{
              1 + \sqrt{
                  1 + \sqrt{1 + \cdots}
              }
          }
      }
\tag{9}
\end{align}


 黄金数に関するこれらの式が得られました。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi
   &= \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
    = 1.618 \dots
\tag{1}\\
   &= \varphi^2 - 1
\tag{7}\\
   &= 1 + \frac{1}{\varphi}
\tag{2}\\
   &= 1 + \frac{
          1
      }{
          1 + \frac{
              1
          }{
              1 + \frac{
                  1
              }{
                  1 + \frac{1}{1 + \cdots}
              }
          }
      }
\tag{3}\\
   &= \sqrt{1 + \varphi}
\tag{8}\\
   &= \sqrt{
          1 + \sqrt{
              1 + \sqrt{
                  1 + \sqrt{1 + \cdots}
              }
          }
      }
\tag{9}
\end{align}

 式(2)は「黄金比の可視化」の「長辺を1とする場合」の関係、式(7)は「短辺を1とする場合」の図の関係と言えます。

2乗の式

 黄金数の2乗に関する式を確認します。

 黄金数の2乗は、次の式になりました。

 \displaystyle
\varphi^2
    = \varphi + 1
\tag{6}

 黄金数の1乗で表わせます。

 式(6)の左辺を、式(1)の具体的な値を使って計算してみます。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\varphi^2
   &= \left(
          \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
      \right)^2
\\
   &= \frac{(1 + \sqrt{5})^2}{2^2}
\\
   &= \frac{1 + 2 \sqrt{5} + 5}{4}
\\
   &= \frac{3 + \sqrt{5}}{2}
\end{aligned}

 右辺も計算してみます。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\varphi + 1
   &= \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
      + 1
\\
   &= \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
      + \frac{2}{2}
\\
   &= \frac{3 + \sqrt{5}}{2}
\end{aligned}


 黄金数の2乗に関するこれらの式が得られました。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^2
   &= \frac{3 + \sqrt{5}}{2}
    = 2.618 \dots
\\
   &= \varphi + 1
\tag{6}
\end{align}

 「黄金比の可視化」の「短辺を1とする場合」の図の関係と言えます。

マイナス1乗の式

 黄金数の逆数に関する式を確認します。

 黄金数の逆数は、次の式になりました。

 \displaystyle
\frac{1}{\varphi}
    = \varphi - 1
\tag{4}

 黄金数の1乗で表わせます。

 式(4)の左辺を、式(1)を使って計算してみます(有理化します)。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\frac{1}{\varphi}
   &= \frac{2}{1 + \sqrt{5}}
\\
   &= \frac{2}{1 + \sqrt{5}}
      \frac{1 - \sqrt{5}}{1 - \sqrt{5}}
\\
   &= \frac{2 - 2 \sqrt{5}}{1 - 5}
\\
   &= \frac{\sqrt{5} - 1}{2}
\end{aligned}

 右辺も計算してみます。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\varphi - 1
   &= \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
      - 1
\\
   &= \frac{1 + \sqrt{5}}{2}
      - \frac{2}{2}
\\
   &= \frac{\sqrt{5} - 1}{2}
    = 0.618 \dots
\end{aligned}


 黄金数の逆数に関するこれらの式が得られました。

 \displaystyle
\begin{align}
\frac{1}{\varphi}
   &= \frac{\sqrt{5} - 1}{2}
    = 0.618 \dots
\\
   &= \varphi - 1
\tag{4}
\end{align}

 「黄金比の可視化」の「長辺を1とする場合」の図の関係と言えます。

n乗の式

 黄金数のn乗に関する式を確認します。

 ここまでの式をまとめると

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^{-1}
   &= \varphi - 1
\tag{4}\\
\varphi^0
   &= 1
\\
\varphi^1
   &= \varphi
\\
\varphi^2
   &= \varphi + 1
\tag{6}
\end{align}

でした。0乗は1(  x^0 = 1 )です。
 黄金数の2乗の式(6)の両辺に黄金数を掛けると、3乗の式になります。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\varphi^3
   &= (\varphi + 1) \varphi
\\
   &= \varphi^2 + \varphi
\end{aligned}

 さらに、両辺に黄金数を掛けると、4乗の式になります。

 \displaystyle
\begin{aligned}
\varphi^4
   &= (\varphi^2 + \varphi) \varphi
\\
   &= \varphi^3 + \varphi^2
\end{aligned}

 ここから、 n を自然数として、次の式が成り立つのが分かります。

 \displaystyle
\varphi^n
    = \varphi^{n-1} + \varphi^{n-2}
\tag{10}


 続いて、黄金数のn乗の式(10)によるに3乗の式に、2乗の式(6)を代入して式を整理します。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^3
   &= \varphi^2 + \varphi
\tag{10'}
\\
   &= (\varphi + 1) + \varphi
\\
   &= 2 \varphi + 1
\tag{11}
\end{align}

 同様に、黄金数のn乗の式(10)によるに4乗の式に、3乗の式(11)と2乗の式(6)を代入します。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^4
   &= \varphi^3 + \varphi^2
\tag{10'}
\\
   &= (2 \varphi + 1) + (\varphi + 1)
\\
   &= 3 \varphi + 2
\tag{12}
\end{align}

 さらに、黄金数のn乗の式(10)によるに5乗の式に、4乗の式(12)と3乗の式(11)を代入します。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^5
   &= \varphi^4 + \varphi^3
\tag{10'}
\\
   &= (3 \varphi + 2) + (2 \varphi + 1)
\\
   &= 5 \varphi + 3
\tag{13}
\end{align}

 ここまでの式をまとめると

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^1
   &= 1 \varphi + 0
\\
\varphi^2
   &= 1 \varphi + 1
\tag{6}\\
\varphi^3
   &= 2 \varphi + 1
\tag{11}\\
\varphi^4
   &= 3 \varphi + 2
\tag{12}\\
\varphi^5
   &= 5 \varphi + 3
\tag{13}
\end{align}

でした。
 ここから、 n を自然数、 n 番目のフィボナッチ数を  F_n として、次の式が成り立つのが分かります。

 \displaystyle
\varphi^n
    = F_n \varphi + F_{n-1}

 フィボナッチ数については「【R】フィボナッチ数列の実装と可視化 - からっぽのしょこ」を参照してください。

 黄金数のn乗に関するこれらの式が得られました。

 \displaystyle
\begin{align}
\varphi^n
   &= \varphi^{n-1} + \varphi^{n-2}
\tag{10}\\
   &= F_n \varphi + F_{n-1}
    \quad
      (n \geq 1)
\end{align}

 式(10)は「黄金比の可視化」の「黄金長方形」の図の関係と言えます。

 この記事では、黄金数の性質を確認しました。次の記事からは、黄金角を確認していきます。

参考書籍

おわりに

 黄金長方形を作図する際に使ったり、何度掛けても1乗の式に整理されるのが面白かったりで、黄金数のn乗というひとネタで1つの記事になりました。
 最後の式からフィボナッチ数の一般式になるのかと思ったのですが、違うっぽいですね(?)。雰囲気が似てるのでこのまま導出してみたかったのですが、早く本編の内容に戻りたいので諦めました。と言いながら別の脱線記事を書いてます。

 2023年12月1日は、元Juice=Juiceの宮本佳林さんの25歳のお誕生日です。

 卒業後のソロ活動も勢力的にしてくれていて何よりです。
 ちなみに、佳林ちゃんの誕生日ということは、このブログの開設日でもあります。今後ともハロプロ共々よろしくお願いします。

【次の内容】

www.anarchive-beta.com