はじめに
機械学習で登場する確率分布について色々な角度から理解したいシリーズです。
この記事では、ガウス-ガンマ(正規-ガンマ分布)の定義を確認します。
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ガウス-ガンマ分布の定義式
ガウス-ガンマ分布(Gaussian-Gamma Distribution)または正規-ガンマ分布(Normal-Gamma Distribution)の定義を確認します。1次元ガウス分布については「1次元ガウス分布の定義式の確認 - からっぽのしょこ」、ガンマ分布については「【R】ガンマ分布の作図 - からっぽのしょこ」を参照してください。
定義式
まずは、ガウス-ガンマ分布の定義式を確認します。
ガウス-ガンマ分布は、1次元ガウス分布とガンマ分布の積で定義される$\mu, \lambda$の同時分布です。
ここで、$\mathcal{N}(\cdot)$はガウス分布、$\mathrm{Gam}(\cdot)$はガンマ分布を表します。$\mu$と$\lambda$の2つの分布には$p(\mu, \lambda) = p(\mu | \lambda) p(\lambda)$の依存関係があります(独立ではありません)。
$\mu$はガウス分布の確率変数で、$m$は平均パラメータ、$\beta$は精度パラメータの係数です。$\lambda$は精度に比例する値で、$\beta \lambda$が精度、精度の逆数$(\beta \lambda)^{-1} = \frac{1}{\beta \lambda}$が分散、分散の平方根$(\beta \lambda)^{-\frac{1}{2}} = \frac{1}{\sqrt{\beta \lambda}}$が標準偏差です。また、$\lambda$はガンマ分布の確率変数でもあり、$a$は形状パラメータ、$b$は尺度パラメータです。$\pi$は円周率、$\Gamma(x)$はガンマ関数です。
確率変数の値$\mu$は実数、$\lambda$は正の実数$\lambda > 0$をとります。パラメータ$\lambda, \beta, a, b$はそれぞれ正の実数$\lambda > 0, \beta > 0, a > 0, b > 0$を満たす必要があります。
ガウス-ガンマ分布の対数をとると、次の式になります。
対数の性質より$\log x^a = a \log x$、$\log (x y) = \log x + \log y$です。また、平方根は2分の1乗$\sqrt{x} = x^{\frac{1}{2}}$です。
ガウス-ガンマ分布は、平均と精度が未知の1次元ガウス分布の事前分布として利用されます。
統計量の計算式
ガウス-ガンマ分布の2つの確率変数$\mu, \lambda$それぞれの統計量の計算式を確認します。詳しくはいつか書きます。
$\mu$の期待値・分散・最頻値は、1次元ガウス分布の統計量なので、次の式で計算できます。
期待値と最頻値(モード)は一致します。
また、$\lambda$の期待値・分散・最頻値は、ガンマ分布の統計量なので、次の式で計算できます。
ガンマ分布の確率変数は$\lambda > 0$の値をとるので、$a \geq 1$のとき最頻値が定義されます($a < 1$だと計算結果が負の値になってしまいます)。
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グラフを描きます。
乱数を生成します。
参考文献
- C.M.ビショップ著,元田 浩・他訳『パターン認識と機械学習 上』,丸善出版,2012年.
おわりに
内容が薄いのですが他の分布・記事との構成の関係で記事にしておきます。本当はガウス-逆ガンマ分布との関係を書きたかったのですが、進捗が悪いので今回はパスします。
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